モーレツ!オトナ帝国の逆襲

ご存知の通りクレヨンしんちゃんはPTAという教育熱心な方々にひどく嫌われ、下品なアニメの代名詞と呼ばれる程。
実際は他のホームアニメと比較してしんのすけの行動は下品なところは多々あるものの、郊外のベッドタウンに住んでいる平均的な現代の家族を象徴したもので妙にリアリティのある設定が浮世離れせずにばかばかしいと感じながらも親近感を持って笑って見れるアニメである。

そんなテレビアニメ版クレヨンしんちゃんだが、映画と舞台を変えれば特にこのオトナ帝国は感動作として評価される。
クレヨンしんちゃんで泣ける??

そんな想像もつかない事態が劇しんでは起こってしまう。

この作品の見所の一つに僕が生まれるまえの昔の自動車(2000GTスバル360)やウルトラマンを模したキャラなどが登場し、それにはまり、昭和の匂いに浸ってゆく"オトナ"たちがいる。
そして最初アニメを見た"大人"は昔懐かしいものに見入ってしまったことであろう。
それだけ昭和の情景がしっかりと描かれているからであり、懐古の気持ちは誰にでもあると言うことである。今のサザエさんを見る気持ちに近いのかもしれない。しかし、クレヨンしんちゃんはあくまでも現代に視点を当てた作品である。



そんな"オトナ"たちが仕事も家事もしないようになり精神的に"こども"に戻ってしまったところからこの物語は始まるのだ。



無論取り残された"こども"たちは生活が出来なくなる。


この映画では大げさな形で扱っているが、今の現実で十分に起こりうる事態なのではないか。
誰もが考えるであろう過去へ戻りたい気持ち、それが第3者から提供されれば簡単にそれも次々にマインドコントロールされる形で便乗されてしまうのではないか。


それを疑問に思い立ち向かう"こども"、現実を生きる、親としてすべきことをすることに目覚め、過去への時間軸を変えようとする"大人"の戦う姿が最大のみものなんで是非ここは鑑賞すべし。



くれよんしんちゃんでやる映画かどうかは疑問だが、10年後また違った視点で観て見たいそんな作品である。そして2001年という21世紀の始めに放映されたことも価値が高い。